平成25年度事業計画

はじめに

　平成25年度を迎え、圏内の経済は昨年の政権交代後、大規模な金融緩和政策が進められ、デフレからの脱却、景気回復の兆しがみられてきております。しかしながら、業績の悪化が著しかった製造業等においては、さらにコストの削減が求められており、環境保全対策にも影響を及ぼすことが懸念されております。
　また、東日本大震災は、本県の浜通りをはじめとしてこれまで経験のない甚大な被災を生じさせ、さらに、それに起因するとされる原発事故は日常生活や経済活動に深刻な影響をもたらしております。
　しかしながら復旧に向け、活動が開始されており、大震災によって生じた膨大な災害廃棄物の処理も進みつつあります。災害廃棄物は、その量、質とともに処理を進めるうえで難しいところがありますが、福島県との協力協定に基づき、福島県から支援要請があり、これらの要請に対して的確に対応することが求められております。平成23年度から14の市及び町から委託を受け、処理事業に着手してきているところです。　また、原発事故に伴い放出された放射性物質に汚染された廃棄物の処理は、全くこれまで対応したことのない事態に直面し、多くの困難な課題が生じております。こうした事態に対応することとして昨年 1月から新たな法律が施行されていますが、現実の対応としては難しい問題が多くあります。
　環境の世紀とされる21世紀を迎える中で、災害廃棄物の処理や放射性物質に汚染された廃棄物の処理は、厳しい基準の適用や適切な処理施設の維持管理、さらに情報の公開が求められ、常に健全な経営環境にあることやより一層のリサイクルが必要とされるなど、産業廃棄物処理業者にとってこれまでにない厳しい状況になっております。
　こうした状況に対応するために本協会としては、産業廃棄物の適正処理はもとより地域の環境保全活動等を行い、排出事業者と地域住民の信頼と期待に応えるとともに、災害廃棄物処理の的確な支援、産業廃棄物処理業としてのコンプライアンスの実施、放射性物質汚染対処特措法の的確な対応など、これまでの技術的な対応だけでない環境事業に係わる事業者となるべく会員一丸となって平成25年度の事業を次のとおり推進するものです。

Ⅰ．公益目的事業

１　産業廃棄物適正処理推進事業(継続事業)

(1)産業廃棄物管理票(マニフェスト)普及促進頒布事業

①紙マニフェストの頒布及び普及

　「公益社団法人全国産業廃棄物連合会」及び「建設六団体副産物対策協議会」で、発行するマニフェストの頒布・普及を行うとともにその記載要領、交付及び回付、保存などについて必要な助言を行い、併せて委託契約締結の徹底を図る。

②電子マニアェストの普及

　従来の紙マニフェストに加え、電子情報処理組織を使用した電子マニフェスト制度が導入されている。この電子マニフェスト制度は、事務処理の効率化、法令遵守(コンプライアンス)、データの透明性等のメリットがあるとされている。
　その加入状況は、全国的に低調で推移してきたが、近年増加傾向が認められ、また、情報センターのシステムが見直されるなど、制度が充実してきている。こうした中、公益社団法人全国産業廃棄物連合会と各都道府県協会は、情報処理センターである公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターと連携して、全国的な普及促進を図ることとしている。
　また、福島県においても普及を促進しているところであり、昨年はその普及・促進のための操作説明会を開催し、具体的な普及促進活動を行っている。このように電子マニフェスト制度は、そのものの特徴に加え、事務処理の軽減化にも寄与するものとされていることから更に加入促進を図ることとする。

(2)不法投棄防止及び環境保全事業

①不法投棄防止巡回パトロール・廃棄物撤去事業

　福島県、福島県警察、関係市町村と連携し、不法投棄・不適正処理の防止とこれらの事案に的確な対応を行い、環境保全に努める。
　また、福島県、関係市町村及び関係団体が協力して行う、不法投棄防止対策事業等に参加するとともに、不法投棄ボランティア監視員制度に協力して不法投棄の防止と、県内の生活環境及び自然環境保全に寄与する。

②猪苗代湖水環境保全等事業

　県民の財産で、国立公園である猪苗代湖の良好な水環境の保全と改革に対する意識の高揚を図ることを目的として、北岸部のヨシ群落におけるヨシの刈り取りやごみの撤去作業を県民や事業者、行政、関係団体等と協働して行う。
・猪苗代湖・裏磐梯湖沼水環境保全対策推進協議会との共催事業で実施
・地域における清掃、ゴミ撤去事業及び啓発活動を関係機関と連携して実施

(3)研修会開催等事業

　廃棄物処理法改正等に伴って必要となる研修会や産業廃棄物の適正かつ安全な処理と不適正処理を防止するための適正処理研修会を福島県各地方振興局等と連携して方部地域協議会毎に、会員企業の従業員及び排出事業者も対象として開催する。
　また、安全で信頼のある産業廃棄物処理業務を確保するため、リスクアセスメントを推進することとして研修会等を開催する。

(4)適正処理に関する相談業務

　県内外から、産業廃棄物に関する処理区分、処分方法、処理業者、処理施設、許可申請に関する講習会等の照会や相談・質疑に対応し、的確な情報の提供と助言を行う。

(5)適正処理普及啓発活動事業

①情報・資料等の提供

　産業廃棄物に関する情報・資料を、的確に伝達・配布する。
・福島県等の関係機関や(公社)全国産業廃棄物連合会から通知された情報・資料を適宜送付
・「産業廃棄物処理に関する資料」等を提供
・ホームページによる情報の伝達を推進
・電子メールによる情報の迅速な伝達

②リサイクル事業の推進

　会員によるリサイクル事業実施内容を会員名簿に掲載するとともに、排出事業者、行政機関等からの照会や相談に対し、資料提供を行うなど、産業廃棄物の再生利用、再資源化を積極的に推進する。

③労働安全衛生活動の推進

　産業廃棄物処理業における労働災害事故を減少させるため、リスクアセスメントを推進する。
　また、東日本大震災に係る復旧工事安全衛生確保支援事業を活用するなど、災害廃棄物処理に係る労働安全衛生活動を推進する。
　さらに、公益社団法人全国産業廃棄物連合会が開催する安全衛生促進研修会に参加し、伝達講習を行うなどして安全衛生活動に寄与することとする。

(6)関係機関、団体との交流・協力事業

　県内において環境保全活動や県民交流事業等を行っている団体等に参加協力する。

①新“うつくしま、ふくしま。”県民運動推進会議
②地球にやさしい“ふくしま”県民会議
　・「福島議定書」締結事業
③福島県クリーンふくしま運動推進協議会
④公益財団法人福島県暴力追放運動推進センター
⑤福島県等との行政懇談会
⑥福島大学との連携による寄附講座の開催

Ⅱ. その他の事業

１　産業廃棄物適正処理啓発講習会事業

　公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが行う産業廃棄物処理業の新規及び更新申請に関する講習会の実施に協力する。

	課程	種類	開催期日	場所
産業廃棄物処理業許可講習会	収集運搬業	新規	平成26年1月30日～31日	コラッセふくしま
	収集運搬業	更新	平成25年10月25日・平成26年1月17日
	処分業・収集運搬業同時	新規	平成25年8月28日～ 8月31日 (処分課程のみは、8月30日)
特別管理産業廃棄物管理責任者講習会			平成25年10月24日・平成26年1月16日

２　組織の強化と組織活動の推進事業(共益事業)

　本協会における業務活動は、会員の処理業者としての知識、技術など資質の向上のほか、県民の生活環境保全と公衆衛生の向上に寄与することにある。このため、本協会の運営、事業内容の充実を図るためには優良な処理業者の加入に努め、組織の強化を図る。

①表彰事業
　会員を対象に、産業廃棄物の適正処理又は事業活動を通じて、公衆衛生・環境保全の向上に寄与し、又は業界の発展に貢献のあった個人に対し、会長名で表彰を行う。また、県知事表彰や大臣表彰などの各種表彰への推薦を行う。

②会員研修会等の開催

ア　適正処理等に関する研修会・講演会等
　会員の能力・資質向上を図るため、県等の行政機関の協力を得て、産業廃棄物の適正処理等に係る研修会(勉強会)をはじめ、総会等開催に合わせ各種の講演会を行うなど幅の広い内容で知織・情報の提供に取り組む。

イ　海外先進地研修(新規)
産業廃棄物は発生抑制が図られているもののその発生量は依然として多く推移し、また、その質も多様化している中、より適正な処理が必要とされている。また、再生は産業廃棄物の処理において取り組まなければならない課題であり、その処理技術はより高度化してきている。こうした産業廃棄物の処理に的確に対応することが今後の産業廃棄物処理業に求められており、グローパルな視点で、これらの課題に取り組むことが必要である。
　こうした事態に対応することとして国外で先駆的な取り組みをしている事業所を視察し、情報を収集することにより今後求められる産業廃棄物処理業の資質向上を図るものである。

海外産業廃棄物処理事業視察団による研修
人員　約20名(協会の推薦による団員も含む。)
実施時期平成25年10月頃
有識者に技術アドバイザーとして参加依頼
視察場所:EU 関係国若しくは米国

③組織活動の推進

業種別の部会及び方部地域協議会を効率的に運営し、廃棄物の適正処理及び再生利用を推進するために組織としての活動を一層推進する。

ア　方部地域協議会の活動推進
　方部地域協議会は、協会の地域組織として、研修会、情報交換会、環境保全活動等を行い、地域内会員の親睦、連帯、協調を図つているところである。さらに、これらの活動を通じて地域の環境保全に寄与するため、関係市町村、関係団体、排出事業者等と連携を深めながら積極的に活動することとする。

イ　部会の活動推進
　各部会・幹事会を適時に開催し、意見集約、情報の収集・伝達等を円滑に行う。

収集運搬部会・幹事会の開催
中間処理部会・幹事会の開催
最終処分部会・幹事会の開催
建設系廃棄物部会・幹事会開催
必要に応じて合同(全体)部会・幹事会を開催

ウ　部会の活動推進
　全国産業廃棄物連合会青年部協議会等と連携しながら県協会青年部会独自の事業活動を推進し、知識と見聞を広げ、若い力を発揮して、次代を担う処理業の牽引役として貢献出来るよう青年部会の活動推進と組織育成を図る。
　また、他県青年部会との交流において北海道・東北地域だけでなく関東圏域等の隣県との連携を図ることも、隣接している本県の特性を生かせるものである。
　今後、関東圏域等の他県との交流を進め、産業廃棄物の処理技術の向上を図るとともに県内の経済発展に寄与するよう継続した交流を行うこととする。

エ　要望活動等の実施
　健全な事業活動を推進するうえで必要とされる環境保全活動や産業廃棄物処理に係る制度改革などについて、広報活動を行うとともに積極的に関係機関に対して要望活動等を実施する。

オ　放射性物質濃度測定・管理事業
　原発事故に伴い放出された放射性物質に汚染された産業廃棄物の処理は、これまでの処理基準に加え、放射性物質の濃度により厳しい基準に適合することが必要とされている。また、再生利用においてもその基準が明確にされるなど、的確な対応が必要とされている。
　こうした事態に対応することとして、取り扱う産業廃棄物の放射能濃度を自ら管理できるシステムを構築することとして昨年度に整備した廃棄物放射能濃度測定・管理事業を推進し、放射性物質に汚染された産業廃棄物の適正な処理を確保する。

④産業廃棄物処理業許可期限(更新)に係る通知の実施

　産業廃棄物処理業の更新許可申請を確保するため、許可期限到来日を事前に通知するとともに、更新許可講習会の案内を行う。

⑤法令の改正等に係る周知・関係資料等の配布

　廃棄物の処理に関する法令等が改正された場合、福島県及び公益社団法人全国産業廃棄物連合会から通知された内容を会員に周知し、遵守の徹底を図る。また、公益社団法人全国産業廃棄物連合会が発行する機関誌等を配布する。

「月刊いんだすと」の配布
「産廃手帳」の配布

３　災害廃棄物処理対策事業

　東日本大震災に伴い大量に発生した災害廃棄物の処理対策について、平成19年3月に締結した「大規模災害時における災害廃棄物の処理等の協力に関する協定J に基づき、支援要請のある市町村に対して処理体制を構築し、対応することとする。　平成23年度から継続されている受託事業については、期限内の処理を目標に行うこととする。
　実施にあたっては、各方部地域協議会における支援・協力支援可能な資機材等を把握し、この協定に基づいて災害廃棄物の適切かつ円滑に処理できるよう体制により行うこととする。